「核の使用はどんなことがあっても選択すべきではない。二度と私たちが経験したことを味わってほしくない」―。広島への原爆投下から81年となる「原爆の日」の6日、「被爆者の思いをつなぐ」と題したトークセッションが川崎市幸区の北野書店で開かれた。11歳で被爆した「川崎市折鶴(おりづる)の会」の森政忠雄会長(92)が平和への願いと継承の大切さを訴えた。(小林 剛)
イベントは昨年12月に北野書店がリニューアルオープンした際、来店した森政さんが「体が動くうちに、このお店で戦争や原爆について伝えたい」という思いを店舗側に届けたことがきっかけ。被爆者が相次ぎ鬼籍に入り、残された時間が限られる中、広島での被爆体験を次世代につなげたいという願いから実現した。
森政さんは小学校6年生だった1945年8月6日、爆心地から3・7㌔地点の国民学校で被爆した。「あの悲惨な光景を語れば思い出すわけで、とても耐えられませんでした」。会場ではこれまでの語り部活動の映像を上映。小学5年生だった孫娘の夏休みの自由研究を契機に自身の体験を話し始めたことや過ちを繰り返さないため、被害だけでなく加害にも目を向け、戦争の本質を見極めることの重要性などを説いた。
トークセッションには地元育ちの高校生平和大使の青柳潤さん(17)=逗子開成高2年=と、森政さんをモデルにノンフィクション作品を手がけた児童文学作家の横田明子さんが参加。「平和の重みと自分に何ができるか考えてもらいたい」というテーマに沿って意見を出し合った。
後半では世代を超えて平和について考える参加者同士のワークショップも実施。参加した青柳湊さん(17)は「話すのが嫌になるという(森政さんの)言葉に衝撃を受けた。戦争は悲惨なものだったことを痛感した」と話した。
イベント後、取材に応じた森政さんは「81年前にどんなことがあったのか改めて認識してもらいたい。核の使用はひとごとではない。本当に何が起こるか分からない」と懸念を示した。核について講演も行った青柳潤さんは「記憶としての苦しんだり、悲しんだりした感情を引き継ぎ、語っていきたい」と決意していた。
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今月23日には幸市民館(同市幸区)で小学生を対象に、森政さんを招いたイベントを開催予定。問い合せは、寺子屋しもひらま実行委員会☎080(4925)07884。