日教組に所属する教員が、自らが実践した授業や指導について報告する「教育研究全国集会」のうち、平和教育に関する分科会に提出されたリポートの数が、ピークだった1982年の74本から2025年は約4分の1に当たる18本まで減少したことが29日、共同通信の集計で分かった。平和教育を受けてこなかった若手・中堅教員が増えたことや、教員の多忙化、日教組の加入率低下が影響しているとみられる。
リポートとして報告される教員実践は全体の一部に過ぎないものの、学校現場の活動実態を示す指標として捉えることができる。憲法の平和主義を浸透させる学校現場の取り組みが衰退傾向にあることの表れと言えそうだ。高市政権が高支持率を追い風に憲法改正に意欲を示す中、平和憲法の価値を実感できる教育の在り方が問われている。
教研集会の内容を記録した日教組の冊子「日本の教育」を調べた。平和教育分科会の前身の「平和と民族の教育分科会」は78年に発足。初回は46本だったリポート数は80年代に増加し、おおむね70本前後で推移した。
「日の丸・君が代」の法制化や、愛国心教育が柱の改正教育基本法成立など学校の保守化が進んだ90~00年代は30~40本に低下。その後は微減が続き、新型コロナウイルス禍で授業が制限された20年代前半は20本前後に落ち込んだ。21年は分科会が開かれなかった。
リポートは太平洋戦争下の空襲など地域の被害や、湾岸戦争のようなニュースを題材に平和の尊さを教える内容が目立つ。広島、長崎、沖縄各県への修学旅行を活用した例も多い。日の丸・君が代などへの教員の反対運動に関する報告は減った。
日教組は組織分裂などの影響で加入率の低下傾向が続く。他の分科会を含む教研集会全体に提出されたリポート数は、79年の1536本から、25年は3割ほどの500本に減っている。
◆平和教育
学習指導要領で「憲法の基本的な考え方に着目」「平和主義を基本的原則としていることを理解」と定められた小中学校の社会科や、探究学習に取り組む「総合的な学習の時間」の授業で指導する例が多い。住民への聞き取りや郷土資料館へのフィールドワークを通じて空襲被害など地域の戦禍を調べたり、戦争体験者の証言を演劇にして発表したりといった実践がある。広島、長崎、沖縄各県への修学旅行に合わせ、事前に原爆被害や沖縄戦の歴史を学ぶ取り組みも広がる。
<「日教組の教育研究全国集会 平和教育分科会に提出されたリポート数」グラフ略>