神奈川県高等学校教職員組合KHTU
神奈川新聞2006.7.14
学校と警察情報連携 「双方向」容認の答申
県個人情報保護審議会 県教委、今秋導入へ

 県個人情報保護審議会(会長・兼子仁東京都立大名誉教授、十五人)は十三日、県教育委員会に対し、県立学校と警察が児童生徒の健全育成を目的に非行情報などを相互に伝える「双方向」の情報連携制度の導入を認める答申をした。同日の審議会での採決で、十対四の賛成多数で可決した。諮問から一年半後の答申で、同審議会としては異例の長期にわたる審議となった。答申を受け、県教委は秋ごろまでに制度導入を目指す方針。

 同日の審議会では、各委員が、導入された際に懸念されることや疑問点を県教委や警察にただした。その上で、採決(会長を除く)で可否を決めることについての無記名投票を実施し、賛成多数で可決。答申案についても表決した。
 審議での反対意見などを受けたので付帯条件として答申案には@県教委による厳格な運用A県警が健全育成の目的に沿って運用するよう、必要な場合は一定の制限を課すB同審議会の求めに応じてその都度、運用状況を報告する−などを盛り込んだ。
 学校が警察に情報提供する事案は@違法行為を繰り返しているA犯罪被害に遭う恐れがあるB生命、身体、財産の安全を守るために緊急かつやむを得ない必要がある−場合で、提供内容は児童生徒と保護者の氏名、住所、自宅電話番号、学年とクラス、生年月日のほか事案の概要と学校による指導状況。校長が提供が必要と判断した場合、県教委がその是非について協議する。警察から学校へは、@の「違法行為の繰り返し」とBの「生命、身体などの安全−」とともに、逮捕、児童相談所に身柄通告された事案について提供する。
 教育目的で児童生徒から収集した情報を捜査機関である警察に提供することは県個人情報保護条例の「目的外提供」に当たるとして、県教委は同条例の適用除外を求めて諮問していた。警察による情報収集と提供は同条例の適用が除外されている。[成田洋樹]