高校神奈川NO531 2006.9.15
06年人事院勧告
月例給・一時金とも改訂なし
〜 比較対象企業規模の見直しを強行 〜

 8月8日、人事院は国家公務員給与に関して、月例給・一時金とも改訂を見送ることなどを骨子とする各国を政府および国会に対して行いました。また、給与構造見直しにかかわる給与勧告や育児のための短時間勤務制度導入に向けた意見の申し出を行ないました。
 この勧告は公務員の人件費抑制という政治的要請にこたえたものであり、労働基本権制約の代表機能としての人事院制度の根幹を損なうものといえます。


勧告のポイント
 06年の給与勧告のポイントは次のとおりです。
【給与勧告のポイント】
月例給、ボーナスともに本年は水準改訂なし
 @官民給与の格差(0.00%)がきわめて小さく、月例給の水準改訂を見送り
 A期末・勤勉手当(ボーナス)は民間の支給割合とおおむね均衡し、改訂なし
 B比較対象企業規模など官民給与の比較方法の見直し
 C給与構造の改革の計画的な実施−広域移動手当の新設、俸給の特別調整額の定額化等
 
 わたしたち神高教は、中央段階では日教組・公務労協に、県段階では県労連・県公務労協に結集し、官民の給与格差の調査における比較対象企業規模の見直しに反対するとりくみを行ってきました。しかし、人事院は昨年の交渉において「現行の比較企業規模は、民間会社の従業員の過半数をカヴァーしており、このような状況に大きな変化がなければ適当なものと考えている」と表明したことを反故にし、公務員の総人件費削減という政治的圧力に屈してこのような勧告を行いました。
 企業規模の見直しを行ったことによる影響は別表のようになります。
(別表)

 つまり、従来通りに勧告を行えば月例給・一時金ともに引き上げる勧告が行われるべきところが、政治的圧力とその意をくんで第3者機関の役割を放擲した人事院によって、あげられるべき水準にある公務員賃金が据え置かれたといえます。
 これまで行われてきた比較企業規模による公務員給与水準決定の枠組みは、1964年の政労トップによる「池田・太田会談」などをつうじて歴史的に形成されてきたものです。これを労使の合意なしに見直したことについて、公務労協は強い抗議の声明を勧告と同日に発しています。(「情報0607」参照)
 今後、地方確定闘争期を迎え、政府が方針化している地場賃金比較とともに小規模企業比較がとられていけば、さらに水準がひきさげられていく危険性があります。あわせて地方公務員の40%をしめる教職員の人件費の削減に関して「人確法」見直しの動きが顕在化することも懸念されています。 (佐藤治)



孤立させていませんか、総括教諭
総括教諭・実務者アンケートから
特別な存在でなく
 「新たな学校運営組織」の導入が決定され、この四月1日には513人の総括教諭が任命されました。
 「本校では、管理職の理解もあり、また、3人のうち2人が組合員であり、民主的な運営に心配りしている。私たちは、“特別な存在”にならないようにこれまで通り働くようにしている。」これは、アンケートに書かれた意見です。神高教は、「同じ仲間である総括教諭をグループのリーダーとして、協力・協働の学校運営をおこなう」ということを基本に、民主化の議論をすすめてきました。このことは、神奈川の教育現場における働き方において重要な要素となっていくと考えられます。4月当初の分会アンケートの中には、「周囲の職員が特別視しないことが重要、総括を中間管理職に追いやるのは職員の意識も大きい。」との意見もありました。「総括教諭として、同じ職員からどう思われていると感じますか」との質問に対して、多くがグループリーダーとして同じ仲間と思われている(173人)と答えていますが、校長を補佐する中間管理職と思われている(62人)、管理職候補として、仲間とは思われていないのではないか(31)とする回答もありました。私たちは、教員生活の一定の期間グループリーダーとして自分の経験を生かして学校運営にあたること、その時、同じ学校で働く仲間としてみんながそのことを支えていく体制をつくることが重要であると考えます。民主化は、同じ仲間の支え合いの中から生まれてくることを基本に据えなければなりません。

校長の学校運営に対する姿勢に不安

アンケートでは「県の研修会でも『総括教諭は校長の補佐をするものではなく、校長の学校運営を補佐するものであり、そのための進言を大いにすすめて欲しい』と話があった。同感であるが、今年着任した校長は、私たち総括教諭に『君たちは中間管理職だから』とか『給料はいくら上がったの』などという始末。校長権限をかざして職員全体の意向をくむ姿勢を見せない。」という意見もありました。「校長のリーダーシップ」「校長を中心とした学校運営」との言葉をいたるところで聞くこととなっています。しかし、校長自身が「新たな学校運営組織」を理解していなかったり、自分の考えを強制することがリーダーシップと取り違えている事はないでしょうか。校長の学校運営に対する姿勢に不安を持つ意見が相当数ありました。今日の教育課題に対して、適格に対応していくためには、学校運営が多くのフィルターを通して行われることが重要だと思います。それは、保護者であり、地域住民であり、教職員なのではないでしょうか。多くの人々の共通理解をどのようにつくり、そしてどのような協力体制をつくっていくのか、まさにそのことをコーディネートすることが校長のリーダーシップであると考えます。子どもたちのために、学校・保護者・地域が一体となった教育環境を用意することで、子どもたちに豊かな教育が保障できるのではないでしょうか。「新たな学校運営組織」がそのような学校のとりくみに資することが重要です。

組合員の総括教諭として
 「自分は、組合員の総括教諭として、この立場を大いに利用し、生徒や職員の側に立って、企画会議では意見を述べようと思う。」このようなアンケートにある意見は、私たちがこの制度を考えるときに、重要な視点ではないかと考えます。制度実施後間もない中で、私たちがとりくみ課題は数多くあります。私たちは、教職員が一体となって「子どもたちに豊かな学びを保障する」ためのとりくみをすすめる必要があります。

日教組 両性の自立と平等をめざす研究集会
ジェンダーの視点が未来をひらく

 8月3日4日、日本教育会館で、「両性の自立と平等をめざす研究集会」が開催されました。1日目の午前には、政治学者のダグラス・ラミスさん(現在,沖縄9条連の共同代表)の「ジェンダー、平和、基地」と題された講演、山口理恵子さんによる「スポーツからみるジェンダー規範の攪乱性」についての講演、午後には「今なぜジェンダーの視点が必要なのか」についてのシンポジウムが行なわれました。二日目に行なわれた4つの分科会を含め、神高教からは参加者5人、熱心に討議に参加しました。

【講演T『ジェンダー、平和、基地』】
沖縄にはまだ平和憲法はきたことがない

講師C.ダグラス・ラミスさん(沖縄9条連共同代表)は、「演題の中の平和を、戦争に替えたほうが良かった。これまで世界に平和が訪れたことがないから。」と言って、講演を始められた。
 ベトナム戦争の途中まで、アメリカには徴兵制があった。令状が来るとカナダへ逃げたりするため、ニクソンがなくした結果、大学を出て相応の職に就ける階層は行かず、貧しい階層が志願する傾向となり、反戦運動が一時弱まった。そして、70年代、徴兵制を復活させるなら、女性も対象になるか問題になり、男女平等を掲げ運動してきた、女性たちの主張は分かれた。
 歴史を振り返ってみると、女性は、サッチャー首相や、ライス国防長官のように、戦争の管理はした。また、防衛軍事行動もした。しかし、女性だけが、家族を離れて組織化し、侵略をしたことはない。男性は、陸軍で少しずつ土地を奪ってきた。「レイプ」は戦略の一つである。「レイプ」という英語には、強姦以外に略奪という意味がある。(南京虐殺は「レイプオブ南京」)ローマ兵士に給料はなかったが、勝てば略奪した。女性は、その性も含め略奪品であり、奴隷とされた。今、国際法で禁止されているが、レイプは存在する。少しさかのぼれば、ライシャワーが米軍を、「レイプが相対的に少なかったから、占領軍は人気があった。」と自賛し、沖縄には、米軍用売春宿が、素人を守るためにあった。
 米軍に「なぜ今も、沖縄に居続けるのか?」と尋ねたら、唯一納得してしまった回答が「ザ、ロック(沖縄を彼らは岩と呼ぶ。)は、戦利品だから。」であった。第二次世界大戦で、返されなかった土地は、沖縄だけだった。「返す必要がないのに、親切に返してやった。」その条件が基地で、海兵隊は、基地以外を返してやったと、今も思っている。
 冷戦時代のソ連を封じ込めるため、トルーマンからクリントンまで続いた、アメリカの基本政策、世界に米軍基地を、ソ連を取り囲むように配置する戦略を考えた、ジョージ・ケナンは、戦後来日し、マッカーサーに、日本に軍隊を作らせるよう要請した。しかし、マッカーサーは反対し、軍隊を作らなくても、沖縄を使えば大丈夫とした。
 04年8月13日の金曜日、沖縄国際大学に、米軍ヘリコプターが墜落し、本館が炎上した。すぐさま、何百人もの海兵隊員が、大学を占拠し、テープをはりめぐらし、沖縄の消防隊も、警察も、知事も、中に入れず、証拠を隠滅し、犯罪の立証を不可能にした。日米地位協定で、基地の外に出て、隊として行動できるのは、基地が攻撃されようとしているか、違反行為を取り締まるときと、規定しているのにかかわらずである。さらに特筆すべきは、日本の機動隊が、アメリカの海兵隊と並んで、沖縄に、日本に向かって、立ちふさがったことである。何とも、奇妙かつ、象徴的な図で、彼らを、沖縄が、海兵隊に荷担させるはずはない。命令をだしたのは東京であろう。
 日本における基地面積の、73.8%は沖縄にある。今の平和憲法を捨てたら、日本は大変なことになると思うが、そもそも沖縄には、いまだかって一度も、この憲法はきていない。きたことがない。
(久里浜分会)


【講演U「スポーツからみるジェンダー規範の攪乱性」】
近代スポーツのほころび
 
 学校現場で、「男子なんだから部活(この場合、体育系の)ぐらいやっていなきゃ」、「女子だからそんなにがんばらなくてもいい」等の言葉をいまだに耳にします。
 全体会の講演U「スポーツからみるジェンダー規範の攪乱性」は、部活動や体育の授業等私たちにとって身近なことを見直すきっかけとなるお話でした。
 講師の山口理恵子さんは、共愛学園前橋国際大学男女共同参画学習センタースタッフとして、またSKIPスポーツホットラインの相談員としても活躍されています。体育教師をめざしていた山口さんは、入学した大学の体育学部での男子の割合が、男女別の定員がないにもかかわらずとても高く、教員もほとんどが男性ということに違和感を覚え、また、身長等から「体育の女=規格外」というレッテルをはられて男性の前で萎縮してしまうという経験から、ジェンダーの研究に興味を持つようになったそうです。歴史的に女性のスポーツへの参画は、禁止・制限・奨励を繰り返してきたこと、性別判定検査(いわゆる「セックスチェック」)が女子選手のみに行われていたこと、スポーツが「男性の方が女性よりも優れている証明」とされてしまいがちであること、体力には行動体力と防御体力があり、一般的に女性が男性よりも長生きなのは防御体力(ストレスへの抵抗力)において優っているからであること、近代スポーツにはすでに「ほころび」が生じていて、「平和の祭典」であるはずのオリンピックやワールドカップが裏を返せば「擬似戦争」、「巨大ビジネスの場」と化していること、スポーツ選手にはシャラポワやベッカムの登場以来、技術のみならず容姿の美しさまでがますます要求されてきていること等、改めて認識することも多く、非常に興味深く聴くことが出来ました。もっともっとたくさんの人にこういうお話を聴いてもらいたいと思いました。
 (霧が丘分会)


【第1分科会 「意識・慣習の見直し」】
すべてのあり方をジェンダーの視点で問い直して

 夏の両性研には何度も参加してきたが、この分科会に参加するのは初めてであった。意識や慣習の見直しは、日常生活の中に深く根付いている問題だけに、“わかっちゃいるけどやめられない”的なことが多い。
 問題提起は、横浜の小学校の男性教員。自らの生い立ちから現在に至るまで、自分の記憶をたどりながら、ジェンダーの視点でのとらえ直しを中心としたものであった。父は仕事・母は家事、女色に男色、男女別出席番号、など。彼と近い年齢の人なら、多くの人が経験してきたことである。いま、ジェンダー・フリーの視点から見れば変なことばかり・・・その頃と比べれば、混合名簿が導入され、ランドセルの色は赤と黒だけでなく色々な色が見られるようになり、女子のブルマーはハーフパンツになり、少しずつではあるが変わってきている。
 昨年文科省は、「男女同室更衣・男女同室宿泊・騎馬戦・徒競走など」に関する男女の取り扱いについての調査を行ったそうである。小学校で徒競走や騎馬戦を男女一緒に行っている実践報告のなかで、子どもたち一人ひとりの短距離走のタイムを何度もはかり、そのタイムアップを目指して運動会に参加させるというものがあった。男女のタイムは多くの人が思っているほど差がでないし、競争というより、それぞれが自分の目標に向かって走るというものに変わっていくそうである。これなら保護者にも十分に理解が得られる。高校現場にいる私たちからすれば、ちょっと遠いところの話のように聞こえるが、ジェンダー・フリーバッシングがきびしい小中学校では、大切なとりくみであると思った。
 日常の意識・慣習を見直す取り組みは、日常の生活・教科指導・行事・特別活動と、すべてのあり方を問い直し、新しいあり方をつくっていくという地道な取り組みの上に成り立っていく。そして、それを作り出す試みは、時には保護者と、他の教職員と、退職された人々と、地域の人々と、色々な人たちとの繋がりの中でしか実現できない。この分科会に参加して、こうした当たり前のことを、再認識させられた。
(住吉分会)


第18回関東ブロック「教職員がつくる教育課程編成講座」
教育課程編成の主導権を握るために

 日教組関東ブロック「教職員がつくる教育課程編成講座」が、8月18・19日、静岡市で開催され、250人を超える校種を越えた仲間が集まりました。この講座は、日教組が教育内容への国家統制が強まる中、教育課程の自主編成を目指し74年以降開催しているもので、全国教研の関東ブロック版とも言えます。今年は、全体会と4つの教科・領域に分かれて討議しました。
 
外国語を使う能力を養う目的は?
 
 今年は、「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」(03年3月文科省)の提唱によって、小学校にも英語教育(英会話活動)が進められてくる状況の下、「英語」のクラス(分科会)が開設され、私は「英語」のクラスに参加しました。小学校における「英語活動」の実践報告、中学校における教科指導法の実践報告、神奈川の高校での英語施策の状況、についてのレポートがありました。小学校での英語教育の有無、すすめ方によって、中学校入学時に既に英語嫌いになっている、英語力に格差があり授業の作り方が困難であるなどとの報告もあり、印象的でした。
 産業界からの要請と「英語は話せた方がいいよね」と短絡した意見に後押しされて、「英語が話せる日本人」という流行語に乗り、@小学校で英会話活動の導入、A英語科教員指導力向上研修の実施、Bリスニングの導入、など「英語施策」がすすめられています。しかし、英語を使える必要のあるのは一部の人で、この「英語施策」が唱えるように全員には必要ありません。日教組が全国教研を積み重ねる中で、外国語教育の目的を、@世界平和、民族共生、民主主義、人権擁護、環境保護の理解、交流、連帯をすすめる、A労働と生活の基礎としての思考や感性を育てる、B日本語と比較し、日本語の認識を深める、C@〜Bを踏まえ外国語を使う能力を養う、としています。政府、教育委員会のすすめる「英語施策」に疑問を持ちつつ、「外国語教育」として日教組全国教研が提唱する目的を意識した教育課程の編成が必要だと思いました。 (神奈川総合産業分会)
 

「PFT問題」と「英語指導力向上研修」に多くの声

 教職員が作る教育課程編成講座の分科会「英語」は、小学校からの英語教育に焦点を当てたものであったが、神奈川の高校からはPFTの民営化問題と英語教員指導力向上研修について報告した。発表にあたって各分会にアンケートをお願いし、40校から得た回答をもとに報告した。
 PFT問題については、県の民営化の動きの拙速さ、インタラックに対する不信感、派遣されたPFTの英語教育力の問題など、延べ90件近い疑問や不服が寄せられた。4月からの雇用条件や契約会社がギリギリまで決まらない、新しいPFTの情報が入らない、人が急に変わった、毎週の連絡が煩雑である、派遣されたPFTの能力、経験あるいはネイティブ度が学校の要求水準に合わない、打ち合わせ時間がない、活用しにくい、など問題は多岐にわたった。今後ALTの民営化も進むとなると研修が不十分になり英語教育の質の低下が懸念される。他県の小中学校でもインタラックが入ってからトラブルが絶えないという声がある一方、小規模な自治体では連絡が密にとれてうまくいっているという所もあった。
 英語指導力向上研修は5年計画で全英語教員に研修させるという今年4年目の研修だが、延べ50件以上の疑問の声が寄せられた。授業や部活動を犠牲にしての研修は本末転倒、また生徒の実態に合わない講義の内容、多忙化する中での強制研修、アクションリサーチやTOEFLへの疑問、などが多かった。よかった、刺激になったという意見も20件ほどあったが、もっと自主的な研修を拡大したり、英語圏に派遣したり、講座が選べたりする効果のある研修を望む声も多かった。
 どちらの問題も、県が費用と労力を惜しんで英語教育を安上がりに向上させようという意図が感じられるが、小規模で手間ひまかけた小中で成功している例を聞くと、今の神奈川のやり方では期待できないと感じた。小学校から英語教育が始まり、これまで以上に英語嫌いと英語好きの格差が広がった高校生を受け入れることになることを考えると、教員やPFTの指導力はますます問われることになる。最後にアンケートへのご協力ありがとうございました。(二宮分会)

学校図書館全国集会報告
図書館に専念できる環境づくりを

 千葉県富里市で開かれた、日教組学校図書館全国集会(7月30日〜31日)に今年も参加した。これは、全国の義務制と高校の学校司書・司書教諭が、日頃の教育実践や課題を発表する場である。
 神奈川からは「新たな学校運営組織と学校司書」・「Library Naviを使った学校図書館教育実践」の二本のレポートを発表、特に松田さん(大和西分会)の発表した「Library Lavi」は高い評価を受けた。
 昨年、この集会に初めて参加した時は、全国の学校図書館には職員が置かれていなかったり、非常勤やボランティアであったりすること、正規職員の場合でも、その身分は自治体によって事務職・実習教諭職・技能労務職と、様々であることに驚かされた。また、司書教諭について、司書が配置されていないところでは、授業軽減のない中で、担任を持ちながら図書館業務に追われている実態も報告されている。
 今年は、岩手県から専任司書教諭が数名配置されたという報告があったが、代わりの加配がないため、実態は授業を持たざるを得ない、所謂「充て司書教諭」である。
 また、各地で人事評価についての動きが出てきている。神奈川では全国に先駆け、事務職と同じ評価項目ではなく、教育的内容を含んだ司書独自の評価項目を勝ちとっているが、これは全国から大変関心を持たれている。
 学校司書も司書教諭も、実践を積み重ねることで、図書館と専門職員の重要性を伝え、それが実を結んでいる。しかし、他方では、図書館活動が後退してしまうような動きもある。例えば、授業や校務のため充分な図書館業務ができない、事務職であるという理由で引率等ができない、採用が打ち切られる、などなど・・・
 神奈川の学校司書は、全国の最先端にいるという。それは、県費雇用の学校司書が全校に配置され、保障された身分の下、教員と協力しながら、長年多くの工夫と実践を積み重ねてきたからに他ならない。
 現在の不安と混乱の状況は、日教組のいう「専任司書教諭が誕生するまでの過渡期」なのかもしれない。しかし、だからといってこのような状況が、そのまま放置されて良い訳ではない。一日も早く、全国の仲間が図書館に専念できるようになってほしい。(大船分会)
日教組 関東ブロック青年討論会報告
青年委員会に参加できる環境をつくろう!

 7月29日から3日間、関東ブロックの若手教員が150人程度集まり、「関ブロ青年討論集会」が横浜で行われました。
 基調講演では「米軍再編における基地問題と横須賀の原子力潜水艦の母校化」についての話を聞かせていただきました。「在日米軍駐留経費負担」(いわゆる思いやり予算)によって、多額の税金が使われていること(米軍1人当たり1200万円だそうです)、原子力潜水艦の危険性などなど。非常に興味深い話を聞くことができました。
 フィールドワークでは、貝山の地下壕を見学しました。長さ2kmにわたる立派な地下壕であるとともに、多くの朝鮮人の方々の強制労働によって作られたと聞き、複雑な気持ちになりました。
 分科会では「組織・職場」についての会に参加させてもらいました。議論の中心は組合の組織率と活動状況でした。活発な学習会・レクレーションによって支えられている支部・県もあれば、青年層の活動がほとんどない県など、かなりの差があるようです。ただ、トータルで考えると「若い教員が少ない」・「若い先生が組合に入らない」・「入っていても、ただ入っているだけ」という現状がどの県でもあるようです。
 もちろん、神高教も同様の問題をかかえていると思います。神高教には他県の青年部に変わる組織として「青年委員会」という組織があります。本来、この委員会は各支部からの支部代表と数名の有志で運営し、青年層の抱える問題について議論されていなければいけないのですが、実際に参加してくれるのは2〜3人程度で活動もままならない状態です。
 若い教員は職場の雑務から、運動部の指導、そして教材研究など期待されている反面、抱えているものが多くあるようで、なかなか時間が作れないとの声も聞こえてきます。各分会でもできる限り、この青年委員会に参加できる環境作りをしていただけると助かります。
 3日間でしたが、非常に貴重な体験と学習を行うことができました。
(平塚工科分会)

第46回日教組養護教員部研究集会報告
押しつけられる「健康」

 7月29日から31日にかけて、日教組の養護教員部研究集会が新潟県で行なわれました。
 ここでは、第5分科会「養護教員部運動をすすめるために」(約80名参加)の内容を報告します。
 どこの県も当局からの圧力はきびしいものがあり、組織率も下がっているところがほとんどでしたが、養護教諭の職をめぐる問題を討議し合って少しでも良い方向にしたいという思いがヒシヒシと伝わってくる雰囲気でした。
 具体的なテーマは、
1.保健主事・新たな職(東京や神奈川の) 
2.研修  
3.評価
4.「医療的ケア」 
5.「スポーツ振興センター」のオンライン化 
6.その他 
でした。
 保健主事についてはまだ全国的には「撤廃、形骸化」を目指して運動する状況のようでした。神奈川や東京はそれどころの話ではなく新たな職や学校組織まで変えられ、1歩も2歩も先へ(?)行かされ、きびしくなっていると思いました。
 評価の問題では、大阪は管理職を評価するシステムがあり、「校長のリーダーシップはどうだったか」「トラブル発生時に最後まで責任をとったか」「働きやすい職場環境づくりに努めたか」などについて5段階で職員が評価し、教育委員会へ提出するというものでした。私達もそうしたいものだと思いました。
 その他では、東京の小・中と高校の単組から、更にきびしい状況になっていることが報告されました。東京では「健康づくり推進計画」を作り、外部の有識者をまじえた「学校健康推進協議会」が設置され、様々な圧力を学校現場にかけているようです。学校保健計画の提出を全部の学校へ義務付け、実施報告もさせています。高校生への「健康ノート」の試行も始まり、学校保健評価システムの導入も検討されています。
 全国的にも今、健康づくりが「義務」として押し付けられようとしています。小・中学校を中心に「早寝・早起き・朝ごはん」運動が流行ってきているそうです。これらの動きは何のためになされているのかを考えていかなければ、戦前のように健康が利用されるなあ、と感じました。また、養護教諭の仕事のさらなる負担の増加、多忙化が生徒へのしわ寄せにならないように、生徒の実態に寄り添ってきた私達の仕事を改めて大事にして行かなければとの思いも強くしました。
 3日間の日程に参加して、全国の(小・中学校が圧倒的に多かったのですが)養護教諭の仲間からエネルギーを得た気がしました。
 困難な状況の中でこそ、情報をやりとりしながら仲間と共にやっていくことで何とか乗り切れるのだと思いました。参加させて頂いたことを感謝します。 
(藤沢西分会)
 

第46回日教組養護教員部研究集会に参加して

 東京駅より上越新幹線に乗り込み、いざ出発!車中で駅弁を食べつつ、これから始まる3日間の研究集会にドキドキ緊張していました。楽しそうな声がする車内、ふと気がつくと辺りは女性ばかり!!これはもしや…。下車駅の『越後湯沢』に到着すると、ぞくぞくと降りて行くではありませんか!?皆が向かう先は…そう!今回の研究集会が開催される「NASPAニューオオタニ」です。
 会場へ向かうと、大きなホールを埋め尽くす人、人、人!参加者は500名を超す大盛況です。
 1日目は全体会がおこなわれました。養護教員部長の山本春枝氏による基調提案、養護教員部保健研究委員会による「子ども虐待と養護教員のかかわり」についての調査報告がありました。その後、千葉大学名誉教授 若桑みどり氏による「子どもを暴力から守るために」についての記念講演がおこなわれました。全大会終了後には、高校交流会が開かれました。県ごとに、それぞれの抱える問題等を出し合い、現状が報告されました。複数配置、人事評価、スポーツ振興センターのオンライン化、組織率低下、等の問題が挙げられていました。
 2日目は分科会がおこなわれました。第1分科会「子どもの健康保障のために」第2分科会「わたしたちがつくる健康教育」第3分科会「子どもの環境改善にむけて」第4分科会「子どもをめぐるもんだい」第5分科会「養護教員部運動をすすめるために」以上の5分科会に分かれ、提出されたレポートから話し合いが進められました。
 3日目には自主講座が開かれました。第1講座「感染症を正しく理解するために」山田真氏 第2講座「むし歯予防とプロパガンダ」内野博行氏 第3講座「養護教諭の専門性」 大谷尚子氏 第4講座「専門職としての情報の読み方」里見宏氏 第5講座「身近な食と環境問題」天笠啓祐 第6講座「心の相談の危うさを考える」三輪壽二氏、以上の6講座が開講されました。講座の終了と同時に、第46回日教組養護教員部会研究集会は閉会となりました。
 修学旅行を思い出す6人部屋、そして初めて会う他県の先生方との相部屋には驚きましたが、他県の様子、小学校や中学校の様子を聞かせていただいたことは、とても新鮮で、貴重な体験でした。楽しい実践をされている先生の話や、養護教員としてのたくさんの出会いや経験も聞かせていただくことができ、また、全国にこんなにたくさんの仲間がいることを実感し、元気をもらうことのできた貴重な3日間となりました。
(三浦臨海分会)
日教組実習教員全国集会報告
実習教員制度の実現に向けて

 7月23日から24日にかけて、実習教員全国集会が山形県かみのやま温泉で開催されました。「制度改革・実習教諭制度のとりくみ」についての全体会のあと、3分科会に分かれての討議が行なわれました。
 私が参加した第3分科会は「実習教員の制度改革と教育改革に関する諸問題」をテーマに、各県のとりくみなどの情報交換が行なわれました。
 初日の分科会では再編統合問題について、活発な議論がありました。
県によっては、複雑な事情をかかえているようで、ある県では、県立高校の普・商・工と市立普の4校による統合が発表され、市立高校の統合を反対する声から県立を3校統合し、数年後市立を統合することになったそうです。しかし、4校有った高校が1校に減ったら生徒にとって大変負担が大きいことは容易に考えられます。特に地方であれば、交通の便が重要な問題です。再編統合するメリットは何で、それは小規模校を存続させることよりプラスなのか?多くの生徒が母校をなくすことより大切なことなのか?また、現場では少なからず在校生を置き去りにし、新校設立に多くの時間を割いていかざるを得ない状況があります。
 高校生に教育することは、私たちにとって本務であり、一番大切にしなければならないことです。今後、各都道府県教育委員会には、再編統合を考えていく上で、今在校している生徒が落ち着いた環境の中で、高校生活を続けられるように考えてもらいたいと思います。また私たちも在校生たちの為によりよい教育を保障できるよう努力いていきたいと痛感しました。
そして2日目、私たちの職の抱える問題と闘いの問題を考えました。
 文科省(当時文部省)は昭和(あえて元号で)30年代から「実習助手の身分には問題がある」との認識をしていながら40年以上たった今も国レベルで改善されていることはありません。都道府県レベルでは少しずつ改善されてきました。
給与面では、やっと導入された2級格付け制度が剥奪され、さらに2級格付けされていた実教までが1級に降格されるという県まで出てきてしまいました。
また、教諭と同等の仕事ができていた県では、いろいろな制限がかけられて、実教も職場も混乱しているようです。
教諭一元化から実習教員制度に移行して、もう十年が過ぎていますが、進展しているのだろうかという話題も出されました。
 何十年も運動を続けてきて、やっと手にした権利を剥奪されたり、縮小されたり、私たちの闘いはエンドレスなのではないかと思うだけで、悲しくなります。しかし、この分科会の冒頭で自己紹介した時、「全国研終えて学校に帰ったら校長交渉します。」言ったら、他県の皆さんに励ましを受けました。単組だけで闘っているわけではないので、今後も頑張らないといけないと勇気をもらいました。
 実習教員制度が実現すればいろいろな問題がクリアされると考えられます。今後は実習教員制度が実現させることに目標を絞って、運動をしていく必要があると思います。
(六ッ川分会)
シリーズ『共生への道』C
「重い一言」

 今回は定時制からの報告です。
翠嵐高校定時制は4,5年前から中国籍の生徒の数が増え、ここ2年程で急激に国籍の多様化が進みました。現在、フィリピン・ペルー・ベトナム・中国の生徒が在籍していて合計すると二桁の数に上ります。
その日本語を母語としない生徒を対象にして、学校設定科目「国語入門T・U」が置かれています。私はそのUの授業を担当しています。生徒は前記の国籍の5名です。ホームルームクラスでは寡黙な生徒が、週3時間のこの授業ではオーバーではないかと思われる程の反応を示し、笑い声が教室の外にまで漏れることもしばしば見られます。
その生徒達と6月17日、18日の文化祭に参加しました。昨年までは「中国文化研究会」という形で参加していたのですが、今年は「国語入門受講者プラス有志」ということで参加しました。テーマは『知っていますか 私たちの国』です。たくさんのことはできないので、ペルー・フィリピン・ベトナム・中国の世界遺産、各国の祭日、教育制度などを展示発表し、ベトナムの民族衣装アオザイの展示をしました。また、「国語入門」と同様に学校設定科目になっている「韓国朝鮮語」の授業担当者に協力を願い、韓国の世界遺産も展示することができました。
その準備をしている時、生徒の方から「国旗を飾りたい」という声が出ました。ペルーの国旗は複雑なので、書けないのではないかと思いましたが、見事なものができました。写真がそれです。赤い色が多いので赤のマジックが一本つかえなくなりました。
ところで、中国と日本の言葉をテーマとした模造紙を書いていると退学予定の在日朝鮮人の生徒が様子を見に来ました。これまで授業等で、私とは接点のない生徒でした。その生徒が「また中国かぁ」とだけ言って出ていきました。何気なく口を衝いた一言だと思いますが、それが徐々に私の中で重くなっていきました。その一言は生徒の中のどの意識が言わせた言葉なのか、自分自身の本当の姿を見せることができないまま、息苦しさの中で生きている在日の生徒に正面から向き合っていなかったのではないか、そう感じている私がそこにいました。
目に見える形の外国籍生徒がいる一方で、見えない在日の生徒が確実に存在します。目の前の生徒の将来を確かなものにするためにも、その存在を的確に把握する必要がある、そう考えている私にとって、その一言は、生徒が退学を予定しているだけに、より重い突きつけとなって迫ってきたのでした。
( 翠嵐高校定時制分会 )    


高校神奈川目次にもどる