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女性解放 思想今に

神奈川新聞2022年04月25日

横浜 草分け 山川菊栄に学ぶ

 女性解放運動に取り組んだ草分けの一人として知られ、神奈川とゆかりも深い評論家、山川菊栄(1890〜1980年)の思想の意義について考える集会が24日、横浜市中区の市技能文化会館で開かれた。登壇した講師は、差別をなくし個人を尊重する社会の実現に向けて先駆者の思想を生かそうと訴えた。(成田洋樹)


 山川は女子英学塾(現津田塾大学)を卒業後、女性差別の是正に向けて数々の論陣を張り、戦時中も戦争に加担することはなかった。戦後は労働省(現厚生労働省)の初代婦人少年局長に就任、女性や子どもの権利を守る行政の基礎を築いた。
 夫は社会主義者の山川均で、藤沢市に長く暮らした。県立図書館の「山川菊栄文庫」に蔵書が所蔵されている。
 講師は、女性研究者を支援してきた山川菊栄記念会の事務局長で、元県立高校教諭の樋浦敬子さんが務めた。山川の足跡をたどりながら、従属的な地位に置かれていた女性の自己決定権を重視した思想について説明。痴漢やセクシュアルハラスメントを性暴力の問題としていち早く指摘し、男女間の賃金格差の是正を訴えたことも紹介した。
 樋浦さんは「格差をもたらす資本主義を問い直す動きが世界で出てきている」とした上で、「資本主義の問題点を指摘していた山川さんの思想を学びながら、女性だけでなく抑圧に苦しむ人たちとの連帯を進めていきたい」と強調した。
 I女性会議県本部の主催で、約35人が参加した。