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朝鮮学校補助金 8都府県計上せず

神奈川新聞2013年03月04日


拉致事件や核実験強行
19自治体は継続

 北朝鮮による拉致事件や核実験を受け、神奈川を含む4県が、朝鮮学校に対する補助金を2013年度予算案から計上していないことが2日、神奈川新聞社の調査で分かった。朝鮮学校がある27都道府県のうち、すでに打ち切っている東京や大阪など4都道府県と合わせ3割が姿勢を転換。一方、19道府県は「政治判断と教育は別」などと補助継続の意向を示しており、対応が分かれた格好だ。(報道部)

 各都道府県の補助金制度は、私立学校に準じた「各種学校」に対する独自の振興費としての位置づけで、高校無償化法に基づき授業料負担軽減を図る国の就学支援金とは異なる。多くが1970年代の導入、2009年まで朝鮮学校がある全都道府県が毎年交付していた。
 13年度の予算編成で初めて計上見送りに転換したのは、神奈川のほか、埼玉、広島、山口の4県。神奈川は「県民の理解が得られない」、埼玉は「我慢の限界」などと核実験の強行を理由に挙げた。広島と山口は高校無償化の適用除外とした国や他県の対応から「総合的に判断した」としている。
 東京、大阪、、千葉、宮城の4都府県は、政府が10年度に高校無償化制度を導入したのに伴い、朝鮮学校への適用に批判の声が上がったことなどから、10、11年度までで予算計上を打ち切っている。 
 一方、他の19道府県は、「政治判断と教育は別」(群馬県)などとの考えで予算計上を続けている。 
 朝鮮学校6校に対し、全国最多の総額1億2千万円の補助金を交付している兵庫県は、13年度もほぼ同額を確保。国の就学支援金への上乗せ分(約490万円)は廃止となったが、県独自の補助は継続した。
 理由として、(1)国内の大学入学資格が得られる(2)高校総体参加などスポーツ文化面で日本の高校と同様の活動をしている−など交付要件を満たしていることを挙げる。同県の担当者は「北朝鮮が問題を起こすと県民から激しい指摘も受けるが、要件を満たしている限り、補助金を止める理由はない」と説明する。
 また、年間約2千万円の補助金を確保ししている愛知県は「核実験は国が対応すべき問題で、県レベルでさらなる制裁は必要ない」と指摘。新潟県や京都府も「教育支援」の意義に沿って補助を続けるという。

住民の生活を第一に
神奈川大学法科大学院の阿部浩己教授(国際人権法)の話
 北朝鮮の核実験でどうして朝鮮学校の補助金が打ち切られるのか。外交問題と地域住民の生活を守るという次元が混同されている。国同士が緊張関係の時も、自治体の長は住民を守る基本的任務を第一に考えるべきだ。補助金を出さないことで、住民間の亀裂を生んだり朝鮮学校に対する差別意識を深めたりし、県内に一層不安定な状況をつくり出しかねない。