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若者就活 もう厳冬

神奈川新聞2009年10月03日

県内中堅・中小10年春新卒採用 66%「予定なし」
転職メドたたず、学生も苦戦

 8月の県内有効求人倍率は悪化傾向に歯止めがかかりつつある結果となったが、若者の就職戦線は既に真冬の寒さだ。不況業種からの転職はメドがたたず、リストラの厳しさを目の当たりにして正社員になる目標を捨てた例も。秋に入ってもリクルートスーツを脱げない大学生は例年にない多さで、支援する立場の大学も正念場を迎えている。(千葉龍太、高橋融生)

 川崎市の金型工場に勤める男性(34)が書いた履歴書は、9月だけで10枚を超えた。勤め先の業績不振で給料も激減した。「年内には倒産かも」。同僚たちがささやき合う。転職活動に汗を流す日々。面接にこぎ着けた会社もあるが、面接官は「採用は数人だが、今日だけで20人以上に会う」と言っていた。その後、連絡はない。「えり好みしている場合じゃない。何でもいいから安定した職に就きたい」
 横浜市戸塚区の男性(34)は、フリーター生活5年。正社員の求職には、もう完全に背を向けている。
 高校卒業後、自動車整備士の資格を取った。横浜市内の整備工場に職を得たが、2年で退職。週5回、都筑区のガソリンスタンドでアルバイトをしている。
 両親からは定職に就くように諭されるが、「正社員はリストラされたら終わり。バイトは辞めたいときに辞められる」。失職した友人を見ると「フリーターでよかった」とさえ思う。
 浜銀総合研究所が県内中堅・中小企業を対象に実施した調査によると、2010年春の新卒採用について「予定がない」とした企業が過去最高の66%を占め、前回調査の50%から大幅に増えた。
 「採用が増加する」とした回答は前年の18%から10%へ、「横ばい」も24%から15%へ下がった。新滝健一調査部副部長は「中小企業は慢性的な人手不足だが、先行きへの不安で人員計画を抑制せざるを得ない」とみる。
 神奈川大・横浜キャンパス(横浜市神奈川区)の就職部の壁は、企業から集めて張った求人票で埋まっている。秋としては異例の数という。
 学生の苦戦ぶりに危機感を募らせ、秋の合同説明会に向けて1万5千社に求人依頼を出した。原田浩行・就職事務部長は「面接で熱意を訴えられるよう、就職相談では自信を回復させるように努めている」。
 理系学生も楽ではない。神奈川工科大(厚木市)の就職担当者は「学生の志望が強い自動車・電機関連で求人が冷え込んだまま」とみる。「学生側も、ゆとり教育で育った世代で自分から活路を見いだす傾向は弱く、ある程度のあっせんがなければ厳しい」