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県立高校進まぬ耐震化

神奈川新聞2009年08月03日

県教委 短期間工事前倒し

 県立高校の校舎や体育館のうち、大きな地震に耐えられると確認できた建物は、全体の58.2%にとどまり、全国平均(67.8%)を下回ったことが、6月の文部科学省調査で分かった。県教育委員会は2009年度中に緊急性の高い建物の耐震化に着手するが、工事が終わるのは7年後。そのため、使用頻度の高い教室を強度が十分な校舎に変更したり、短期間で可能な耐震化工事を前倒しで実施したりと、生徒の安全を確保するための工夫を始めている。(佐野克之)

◆43校の91棟
 県立磯子工業高校(横浜市磯子区)では6月末、校庭の脇に2階建ての仮設校舎が建った。教室や職員室、事務室を備え、冷暖房装置も完備。県教委まなびや計画推進室の担当者は「仮設ではあるが、快適に過ごしてもらえるはず」と説明する。
 同校校舎は06年度の調査で耐震強度が不足していると判明。2年半かけて仮設校舎建設が進められてきた。同様に港北、追浜、相原、上溝の4高校でも、仮設校舎設置の準備が進む。だが、どの校舎もいずれ大規模な鮒霊化工事が必要で、県が工事を予定しているのは、県内全体で妃校の91棟にも上る。
 県内では1970年代に多くの県立高校が開校したため、現行の耐震基準が導入される81年以前の建物が他の自治体よりも多い。このことが県立高校で耐震化が進まない要因の一つとなっている。

◆工事には数年
 耐震化工事を終えるには設計から3年程度の期間が必要で、施工中の半年間は教室が使えない。そのため、工事前に2年半ほどかけて仮設校舎を建設する必要がある。生徒や保護者から「すぐに耐震化工事をしてほしい」という声が上がるが、「数年かかってしまうのが実情」(県教委)という。
 そこで県教委が始めたのは、土、日曜日の施工で3〜4ヵ月で終わる耐震スリット工事。壁と柱の間に切れ目を入れ、地震の力が建物全体に伝わら落いようにする工事でこれまのでに柱や壁の耐震化と併せて施工してきたが、26校で前倒しで実施する計画だ。
 また、仮設校舎建設中などで危険度の高い校舎を使わなければならない学校では、クラスルームを耐震化の十分な校舎に変更するなどの臨時的な対応を取っている。
 県教委まなびや計画推進室の塩川圭一室長代理は「できるだけ早く耐震化工事を終え、生徒が安心して学校生活を送ることのできる環境を整えたい」と話している。

大規模補強が必要な校舎・体育館のある県立高校
 横浜立野、商工、希望ケ丘、旭、磯子工業、港北、川和、柏陽、松陽、川崎工業、新城、多摩、向の岡工業、生田、横須賀大津、横須賀工業、追浜、鎌倉、西湘、茅ケ崎北陵、逗子、相原、上溝、相模原、大和、座間、津久井、鶴見、横浜翠嵐、横浜緑ケ丘、光陵、二俣川看護福祉、霧が丘、白山、舞岡、瀬谷、百合丘、海洋科学、津久井浜、藤沢、藤沢西、大清水、吉田島農林