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公立高校からでも東大に行ける?

神奈川新聞2009年01月19日

県内の教育改革に期待
ここが知りたい!県内入試事情

 前回は二〇〇九年入試の傾向についてお伝えしました。今回は、神奈川県の教育改革のここまでの進展についてお伝えいたします。
 受験を控えた中学生にとっては、いよいよ大詰めの時期です。高校に進学する目的はそれぞれ異なりますが、やはり難関大学入学を見据えて第一志望の高校に、入学できるよう、ラストスパートをかけている受験生は多いことと思います。
 しかし、中学入試編でもお伝えしましたが、東京大学をはじめとする難関大学への合格実績では、湘南高校などの名門県立高校であっても、栄光学院・聖光学院・フェリス女学院などの中学受験の名門私立校とはかなり引き離されているのが現状です。
 もちろん、どこの大学に合格したかはそれまでの努力量とおおむね比例するので、個人個人の発達段階を考えないならば小学生の時から受験勉強を開始したほうが有利ですし、進学指導を学校の魅力として打ち出している中高一貫校に進学した方がより難関大学へ合格しやすくはなるでしょう。しかし、三十年前(一九七九年)に全国九位(六十人)の東大合格者を輩出していた湘南高校から、今では八人しか輩出していないという公立校の低迷にはそれだけではない不安を感じます。
 こうした不安の声を受けてか、〇五年より入試問題自校作成などの県の公教育改革が開始され、先陣を切った横浜翠嵐高校が〇八年の東京大学合格者数でわずかでも湘南高校を上回ったことは、教育改革の一定の成果であったといえます。
 加えて、神奈川県と同じ取り組みをより早期から実施している、東京都立の西高校や日比谷高校の成果を見ると、県の教育改革のさらなる成果が期待できます。これらの成果は公教育であっても、難関大学進学という声にこたえることが可能であるということを示しているのではないでしょうか。
 しかし、西高校や日比谷高校が教育改革の先端を行く品川区や杉並区の地元であることを考えると、教育改革の成功は学校だけでなく、地域全体の関心の高まりがあったからこそであるといえるでしょう。
 まずは地域全体で教育改革の進展を関心を持って見ていく必要があります。そのためには何を見ればいいでしょうか?一つは横浜翠嵐高校などの進学指導重点校からの東京大学合格者数です。
 もちろん、神奈川県の教育改革は難関大学への進学指導だけでなくさまざまな分野で行われています。しかし、東京大学合格者数といった進学指導重点校の成果は数で表すことができるため、とてもわかりやすく見ることができるといえます。
 教育改革のさらなる進展のために新指導重点校の成果に注目していきたいと思います。   (湘南ゼミナール経営企画室・坂井佐武郎)