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内定取り消し 県立高生すでに7人

神奈川新聞2008年12月24日

就職に影響じわり

 十月の県内有効求人倍率(パート含む)が九カ月連続で悪化する中、高校生や大学生の就職にも影響が出ている。県教育委員会が把握した県立高校生の内定取り消しは二〇〇七年度はゼロだったが、今年はすでに七人(十八日現在)に。大学生も就職は狭き門になり、横浜国立大学では三人が内定を取り消された。(鈴木秀隆)

 県教委によると、高校生の就職活動解禁は九月だが、県立高校生の内定を取消したのは三社。取り消された七人の在籍校は五校。「内定率は若干落ちているが、一昨年と比べれば悪くない」(高校教育課)というものの、一回で内定を得られなかったり、以前なら試験後一週間で届いた合否連絡が二、三週間かかるなど、じわりと影響が出ているという。
 今のところ大きな影響が出ていない学校も。県立磯子工業高校(横浜市磯子区森)は三年生約二百人のうち就職希望者が七割いるが、千社以上から求人募集が届いた。千三百社を超えた過去二、三年に比べれば減ったが、ほぼ1OO%の内定率だったという。
 だが高校によっては、まだ内定が出ていない生徒を多く抱える学校もあり、「例年なら十二月、さらに年明けでもポツポツ合格が出るが、年明けの新たな合格が減るのではないか心配」との声も出ている。
 県内の大学でも内定取り消しが相次いでいる。横国大生の三人の場合、取消された業種は不動産や外資系薬品関係。同大学ホームページで内定取りしの学生に「就職支援と相談を行う」と呼ひ掛けいる。


私立大4年生、留年決意 夢かなうと思りたが…
 「不動産業界はもういい」。県内に住む都内の私立大四年の男子学生(22)は来春の就職を断念した。大手の不動産会社から十一月半ばに突然、内定を取り消す知らせが届いた。ほかに行きたい就職先を見つけられず、大学を留年することにした。
 不動産業界が第一志望だった。この春、マンション分譲大手の日本綜合地所(東京都港区)から内々定をもらい、就職活動を終わらせた。「家は一生に一度の買い物で、喜びも大きい。自分も営業マンとして、その喜びに携わりたかった。内々定をもらった時は夢がかなうと思い、うれしかった」
 「薄々と不安は感じていたが、電話で連絡が来た時はまさかと思った」。同社から内定取り消しの知らせを聞いた時は、「会社に裏切られたことよりも、自分のしたいことができなくはったことの方がショックだった」と打ち明ける。同社は五十三人の内定者全員の採用を取り消した。
 二〇〇九年四月入社に向けて、求人を募集している企業を調べたが、入社したい会社はなかった。大学就職課や親に相談し、大学にもう一年残ることにした。
 今月半ば、内定取り消しの経緯や補償について同社の説明会に参加した。一年間を棒に振る。その代償として「一人一律百万円を補償する」という同社の対応に納得できなかった。
 同社は「世界的な金融危機の影響で経営の見通しが立たない。コスト削減を迫られ、内定者を迎え入れられないと決断した。学生には何も非はない。ほかの会社を紹介するなど、できる限りのことをしていきたい」と話している。(鴻谷 創)