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日本史必修化で県教委試案

神奈川新聞2008年07月23日

短期講座でも単位

 県教育委員会は二十二日、県立高校の日本史必修化で神奈川独自に創設する「郷土史」「近現代史」の二科目に関し、学習内容や運営方法で各校に裁量を持たせる試案を明らかにした。夏休みの短期集中講座や、生徒が選んだテーマ課題の研究発表などでの単位取得も可能にする。従来の日本史A(近現代史)、同B(通史)を敬遠していた理系の生徒らにも抵抗感なく履修させるのが目的という。
 横浜市内で同日開かれた「日本史研究協議会」の初会合で示した。世界史履修ではかつて大学受験を控えた理系生徒らの未履修を学校側が“黙認”したことが問題となった。理系生徒らへの負担の大きさが背景にあると指摘された。県教委は今回、世界史に加え、日本史も必修とするため、理系や工業、商業系などの生徒が履修しやすくする。各界から出た「歴史観の押し付けにつながる」「教育の自由がなくなる」などの批判への配慮もあるとみられる。
 試案は、新科目で「課題追究学習」「研究発表」「討論」などを導入し、学んだ歴史を自分の言葉で表現する力を育てることなどを提案。県独自で作成する教材も、通史を記述する教科書型ではなく、テーマ別の学習資料、指導事例などで構成し、各校の裁量で使いたい部分を使えるような形も検討する。副教材として従来の日本史教科書を便用することも視野に入れている。
 学識経験者、県立高校校長、PTA関係者、県教委関係者でつくる同協議会の会長には鎌倉女子大学の遠藤隆二教授が就任。協議会で議論し、二〇〇九年度中に方向性をまとめる。
(真野太樹)
◆県立高校の日本史必修化
 学習指導要領ですでに義務付けられている世界史に加え、日本史A・B、地理A・Bのいずれかを履修する。日本史を選択しない場合、県教委が新設する「郷土史」「近現代史」のどちらかが必修となる。2013年度入学生から導入予定。06年度卒業生のうち日本史A・Bを履修していない生徒は約3割。