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教員合否 22道県市が個別通知

神奈川新聞2008年07月18日

県議らに 発表前連絡も

 全国の少なくとも十八道県と四政令市の教育委員会が、特定の教員採用受験者の合否を県議や国会議員秘書らに個別に知らせていたことが十七日、共同通信の調査で分かった。このうち北海道、島根、熊本など十道県と大阪、名古屋両市の教委は、正式発表や受験者に合否通知が届く前の「事前連絡」だったことを認めた。神奈川県教委と横浜、川崎の両市教委は事前連絡していないと回答した。
 一部の教委は「通知発送後の連絡なので問題ない」としているが、特定の議員関係者らへの便宜供与が公平な教員採用試験の信頼を揺るがしかねないことから、多くの教委が「今後は個別問い合わせには応じない」と方針を改めた。
 文部科学省は、事前連絡自体は必ずしも不正行為には当たらないとしつつも「疑念を招く行為は慎んでほしい」(幹部)としている。
 北海道教委では「長年の慣習」として、教育長や教職員課の幹部が合格通知発送前に、毎年百件以上の合否を事前に依頼を受けていた地元有力者らに連絡していた。熊本県教委でも、受験者に通知が到着する前日の夜、県教委幹部二人が手分けして電話をかけていたという。
 個別連絡を依頼した人物は地元県議が多く、ほかに国会議員秘書や市議ら政治関係者、市町村長、教委OBとの回答も。「事前連絡」とはしていない教委でも、通知発送直後や翌日などに主に電話で個別連絡していたケースが多く、受験者全員に通知が届く前に結果が漏らされていた可能性が大きいとみられる。広島市は通知発送やホームページでの公表後、一般市民の照会にも応じていたが「誤解されかねない」として、今後一切の問い合わせに応じないことにした。
 共同通信が十七日、四十七都道府県と十七政令市の教委に取材し、回答を得た。「調査中」と明確に答えない教委もあった。

全国の教委で採用実態調査
 大分県の教員採用汚職事件を受け、文部科学省は十七日、全国の都道府県と政令市の教育委員会に対し、教員の採用について選考基準や成績などを開示しているか、不正防止のための措置を講じているかなど、現在の状況や改善策について報告を求めた。回答期限は二十五日までとしている。
 文科省は十日、教職員の採用や昇任で不正行為が行われないよう点検を求める通知を出した。しかし、その後、大分県の事件が広がりを見せているほか、他教委でも県議や市町村長らに合否結果を事前連絡をしていたことなどが相次いで発覚し、あらためて詳細な報告を求めることにした。