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道徳の教科化見送り

神奈川新聞2007年09月19日

中教審方針
数値評価なじまない

 学習指導要領の改定に向けて審議している中教審は18日、焦点となっている道徳教育の位置付けについて、政府の教育再生会議などが提言していた「徳育」としての教科化を見送る方針を固めた。正式教科の要件である国の検定教科書や数値評価が道徳教育になじまない、と判断した。
 正式な教科に準ずる「新たな教科」としての位置付けも検討したが、今回の改定では見送り、指導内容の見直しで道徳教育を充実させる方針。中教審内でさらに審議の上、十月の審議経過報告に盛り込む見通しだ。
 現行の学習指導要領は、小中学校で週一時間程度の「道徳の時間」を設定。文科省は2002年から全児童生徒に共通の副教材「心のノート」を配布しているが、正式教科でないため「指導にばらつきが大きい」との批判が上がっていた。
 さらに「子どもたちに高い規範意識を身につけさせる」との方針を強く打ち出した安倍晋三政権の下、教育再生会議が6月の第二次報告で、数個評価などはしないものの、道徳を「徳育」と変更した上での教科化を提言していた。
 一方で、正式な教科とするには1)数値評価2)検定教科書の使用3)中学以上では専門の教員免許を設ける−などが要件とされており、中教審内では「(国が検定した)教科書を使い、試験をして採点することは無理がある」(山崎正和会長)などの慎重意見が強かった。
 さらに公明党にも教科化に根強い反対意見がある上、安倍首相の辞任表明で、政治的要請が強まる見通しは広くなりつつあった。
 中教審はいじめ問題の深刻化などを受け、道徳教育の充実を学習指導要領改定の柱の1つに掲げる方針だが、今後の審議では小中学校の各段階で基本的な生活習慣や人間関係について、実際の体験に基づく指導をどう充実させるか、具体的な内容に重点が置かれそうだ。