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全国制進学率89.3%

神奈川新聞2007年08月02日
低下続き全国最低水準
県立の公立中学生
 県内の公立中学校を今年三月に卒業した生徒のうち、県内外の国公私立の全日制高校に進学した生徒の割合(全日制進学率)が前年度に続いて90%を切り、0.3ポイント減の89.3%にとどまったことが一日、県教育委員会のまとめで分かった。全日制を希望しながら経済的な事情などで定時制に進学せざるを得ない構図が続いているためで、同進学率は全国最低水準とみられる。県教委は目標の91%を大きく下回り、来年度の定員計画の見直しが迫られている。
 県教委によると、公立中学卒業生は前年度より千二百五十三人増の六万四千九百三十三人。うち一県内外の全日制高校入学者は前年度比九百六十一人増の五万八千十七人で、卒業生全体の89.3%と低迷した。そのうち県内公立が60.8%(前年度比0.9ポイント増)、県内私立は19.4%(同0.7ポイント減)、県外国公私立は9.1%(同0.4%減)で、県内公立が伸びる一方、県内私立が減少した。
 県教委は今春入試で全日制公立枠を前年度より約千三百人増やした。県内公立中学からの入学者数は前年度比千三百十八人増の三万九千四百八十九人だったため、ほぼ計画に沿った形だった。
 一方、県内私立の公募校五十七校では県内外の公私立中学からの受験生と合格者はともに前年度より二千五百三十五人、七百六十八人それぞれ増えたが、県内公立中学からの入学者は二百三十人減の一万二千五百九十五人にとどまった。県外国公私立への入学者は百二十七人減の五千九百三十三人だつた。
 県私立中学高等学校協会は昨年来、「全日制公立枠をただ増やしただけでは、公私立を併願した生徒が公立に流れるだけで全日制進学率の改善にはならない。定時制への不本意学を避け、希望通り入れる全日制高校を用意すべきだ」と主張。今回の結果に「県教委の政策的失敗だ」と批判する。
 また、県高等学校教職員組合は「卒業生増の割には全日制公立枠の拡大が少なかったためではないか」と分析している。
 県教委高校教育企画室は「全日制公立の定員増をはじめ公私立の生徒向けの奨学金増、不登校生徒の受験機会拡大などの対策を取っているが、進学率の押し上げにはまだ結びついていない」と弁明している。(成田洋樹)